外国人患者増加時代における医師の英語力と課題を探る

日本の医療現場では、外国人患者の受診が年々増加しています。この対応を進めるために、医師の英語力の重要性がますます高まっています。特に、最近行われたMED ITALY株式会社の調査によると、約9割の医師が外国人患者の増加を実感し、今後の対応力向上を強く望んでいることが明らかになりました。

調査の背景と目的

医療機関での外国人患者の増加は、日本の医療現場だけでなく、国際的な学会でも大きな課題とされています。実際、日本の医学教育は主に日本語で行われており、グローバルスタンダードとのズレが指摘されています。今回の調査は、このような現状を踏まえ、医師たちが感じている語学力不足の実態とその影響を調査することが目的です。

医師たちの言語スキルに関する認識

調査では、「外国人患者が増えている」と実感する医師が非常に多く、多くの医師が国際的なキャリアに対する憧れを示しています。しかし、医療の質を担保するためには、語学力が必須ですが、実際には語学力不足が診療の質や患者の安全に影響を及ぼすと感じています。具体的には、診断や治療内容を英語で十分に説明できない、症状や病歴を正確に把握できないなどの問題が挙げられました。

学術活動での課題

また、国際学会に参加した際に英語力があればより有意義なものになると感じている医師が90%以上に達しました。学会では、専門用語を用いた円滑なやりとりが重要ですが、実際には質疑応答の場で流暢に対応できない医師が多く、国際的な交流が進んでいない現実があることが指摘されています。

英語対応現場の実態

英語に対応できるスタッフの割合は、医療機関によって異なるものの、5割以上と答えた医師はわずか15.6%。つまり、多くの医療機関が十分な英語対応体制を整えていないことが明らかになりました。このような状況は、診療の効率を下げ、誤解やトラブルを引き起こす一因となっているようです。

医師たちの自信と向上心

調査結果では、医師の約60%以上が英語での診療や説明に一定の自信を持っていますが、実際には特に専門的な内容に関しては不安を抱えている方も多くいます。今後の医療現場では、実践的な英語力の経験が求められるでしょう。また、多くの医師が英語対応力の向上が自身のキャリア形成に重要だと考えており、そのために海外での学びを希望する声も寄せられています。

海外での学びの意義

調査の結果、約9割の医師が海外で医学を学ぶことに賛成し、その理由として、外国人患者との円滑なコミュニケーションや、最新の医学情報を直接入手できることが挙げられています。こうした経験が医療の質の向上に寄与し、医師自身の国際的な視野を広げるために不可欠だと考えられています。

結論

外国人患者の増加が進む中で、日本の医療現場における英語対応力の必要性は今後さらに高まるでしょう。多くの医師が語学力不足の課題を認識し、改善のための努力を続けています。英語対応力を向上させることが患者へのより良い医療サービスを提供することにつながるだけでなく、医師自身のキャリア形成にも大いに寄与します。今後、このような取組が進むことで、より多くの医療機関が国際的な医療サービスを提供できるようになることを願います。