2024年関西スタートアップ満足度調査:112社の声
関西のスタートアップシーンがどのように変化しているのか、その実態を探るための調査が行われました。大阪に本拠を置くNPO法人・生態会が実施したこの調査は、112社の関西スタートアップを対象に、彼らの現状や課題を可視化することを目的としています。
調査の背景
生態会は2018年に設立されて以来、起業エコシステムの活性化を図るための様々な活動に取り組んできました。最近の国の施策により、スタートアップへの関心が高まる一方で、成功の裏にある課題も見逃せません。今回の調査は、関西地域のスタートアップが抱える問題を真剣に考察し、その課題を解決するための手がかりを得るよう実施されました。結果は『関西スタートアップレポート』の特集としてまとめられ、2024年11月の報告会で発表されることになります。
調査結果の概要
1. 満足度:70%が現在に満足
調査に対して69%の企業が、起業当初に比べて現在の事業に満足していると回答しました。特に、事業の成長や仲間の増加、自由に事業を進められることが喜ばれている点として挙げられました。一方、「まだ成し遂げられていないことが多い」や「資金調達に 苦労している」といった声も少なくありません。
2. 満足度は設立年数による傾向が明確
設立1~2年目の企業においては、満足度が低く、全体の33%から45%に達する傾向が見られました。成長段階にあるスタートアップにとっては試行錯誤の時期であり、悩みを抱えるのも無理はありません。一方で、設立10年以上の企業でも27%が満足していないと回答しています。生態会の副理事長、岩田さんの意見によれば、現状に満足することなく常に成長を求める姿勢が重要だそうです。
3. 年商と満足度の相関関係
売上が増えるほど、満足度も高まる傾向が顕著で、年商が1億円以上の企業では「大変満足」や「満足」と回答した企業が過半数に達しました。この結果からも、経済的な安定が企業の満足度に寄与していることが示されました。
4. 創業メンバーの割合
創業メンバーについても調査が行われ、業務関係者や友人を中心とした人材構成が見られました。現在も残っている創業メンバーは81%という結果となり、彼らが企業成長に寄与している姿が浮かび上がります。ただし、欠けた理由は「能力の不足」や「方向性の違い」が多くなっています。
5. 課題:関西特有の悩み
東京と比較した際の関西での課題は、経営層の採用や資金調達、他の起業家とのネットワーキングの難しさが目立ちました。経営層の確保が難しいという声は多く、これも東京一極集中の背景に起因しているようです。一方で、商品開発やオフィス環境の調達には恵まれた条件が整っているとの意見もあります。
今後の展望と支援の必要性
この調査を受けて、関西のスタートアップ環境は着実に成長しているものの、依然として多くの課題が存在しています。生態会は、次回の報告会でこれらの課題についてディスカッションを行い、改善策を提案することを目的としています。
大阪府も国際金融都市の実現を目指し、ベンチャーキャピタル誘致などに力を入れ、スタートアップ支援の取り組みを進めています。
今回の調査結果を通じて、多様な意見を反映し、さらなる発展をサポートする仕組みが求められています。関西のスタートアップが、未来のビジネスリーダーとして成長していくための道筋をつけるために、引き続き注視していきたいところです。