学校教育と企業研修が交差する新しいキャリア教育のかたち
2025年5月29日、大手3社の労働組合が協力した教育プロジェクト「NEXT SENSEI」が市川学園市川中学校で行われました。このプログラムは、企業の社員が「先生」となり中学生に自身のキャリアを語る出張授業の一環です。NEXCENT(大阪府大阪市福島区)は、学校の教育に企業研修を融合させ、次世代のキャリア教育を推進することを目的としています。
「NEXT SENSEI」の理念
「NEXT SENSEI」は、「みんな誰かのせんせい」というテーマのもと、企業の人材育成と社会貢献を兼ねたキャリア教育プログラムです。社員たちは、自己理解を深めつつ、中学生に将来を考えるきっかけを提供します。
この日は、イトーキ労働組合、オカムラ労働組合、コクヨ労働組合から18名の組合員が参加し、約320名の中学2年生に授業を行いました。
プログラムの流れ
プログラムは前半と後半に分かれています。前半では、体育館でワークショップや会社紹介が行われ、社員たちが自身のキャリア選択や学生時代のエピソードを語りました。生徒たちは、将来の夢を話す貴重な時間もあり、多くの生徒が興味を持っていました。
後半は教室に移動し、社員たちが2名ずつクラスに分かれ、25分間の授業を行いました。授業では、「なぜこの仕事を選んだのか」、「どんな思いで働いているのか」といった進路の選択理由や、実体験を交えた生徒に対するメッセージが届けられました。生徒たちは、授業中のユーモアのある語りに真剣に耳を傾け、自分の未来について考える機会となったようです。
組合員の感想
オカムラ労働組合の北川匠里さんは、「世代が違う生徒に正式な場でプレゼンを行う機会は貴重で、自身の経歴を振り返る機会になった」と述べています。この意見は、プログラムの目的達成や社員の成長にも寄与しました。
生徒たちからも、進路相談会での交流を通じて多くの感想が寄せられました。その中で、「社会人の方々の歴史や挫折を聞くことができ、励まされた」といった声があり、社会人との対話が自身の将来について真剣に考えるきっかけとなったようです。
新たな学びの形を創出
「NEXT SENSEI」は、単なる出張授業に留まらず、企業と教育現場が協力して次世代を育てる新しい学びの形として注目されています。NEXCENTは、中学生に多面的な“社会人像”を提供することで、彼らのキャリア形成に寄与したいと考えています。また、企業の社会的責任や社員の意欲向上にも寄与する取り組みです。
社会人と中・高校生の交流を深化させることで、企業の人材育成や学校教育の質向上も期待されます。NEXCENTは、今後もこのプロジェクトを通じて、より多くの生徒に“働くこと”の大切さを伝えていくでしょう。
まとめ
「NEXT SENSEI」は、教育現場と企業の協力によって生まれる新しいキャリア教育のかたちです。将来に不安を抱える中学生と、そんな彼らにリアルな経験を語る社会人。双方にとって貴重な学びの機会を提供するこのプロジェクトは、未来の社会を担う若者たちの成長に大きな影響を与えることでしょう。