鴻池組が提案する未来の建設業務
建設業界が直面している深刻な問題に対し、鴻池組は先進的な技術を駆使して解決策を提供しています。熟練技術者の高齢化や人手不足が顕著な現代、従来の方法に代わる新しいシステムを開発し、公開実験を行いました。その取り組みを詳しく見ていきましょう。
スリーブ検査システム「スリーブリング」
課題解決のための開発
鉄筋コンクリート造の建物には、配管や配線用に事前に設けられる「スリーブ」と呼ばれる筒状の穴があります。このスリーブの検査は、従来では職員が手作業で行っていました。そのため、時間と労力がかかり、何百か所にも及ぶ検査が必要となるため、効率的な作業が求められていました。
新しい技術の導入
鴻池組は、日本コンピュータシステム株式会社と共同で、スリーブ検査システム「スリーブリング」を開発しました。AIとARを駆使し、検査の効率と精度を向上させるこのシステムは、操作も非常に簡単です。必要な機材は、専用アプリをインストールしたタブレットと、印刷可能なARマーカーのみ。
手順と成果
1. ARマーカーを印刷
2. スリーブにARマーカーを貼り付け
3. タブレットで設置状況を撮影
4. AIが画像を認識し、正誤を判断
このプロセスにより、リアルタイムで結果を共有可能となり、設計との整合性も瞬時に確認することができるのです。結果として、検査時間が大幅に短縮されました。
測量相番ロボット「スタッフィー」
自動化への第一歩
測量作業は通常、2名のスタッフで行われ、これも人件費や工数を押し上げる一因でした。そのため、鴻池組は建ロボテック株式会社と協力し、これらの作業を自動化するロボット「スタッフィー」の開発を行いました。
特徴と効果
スタッフィーは、保持テーブルや回転機構、スプレー装置などを搭載し、遠隔操作による測量が可能です。公開実験では、ロボットが正確な動作を行い、2人の作業を1人で行えることが確認されました。これにより、従来の作業体系を大きく変える可能性が示されたのです。
今後の展望
鴻池組は、これらの技術をさらに発展させ、その他の建設作業への応用を目指しています。DXやICT技術を活用し、業界の課題を解決しながら、より良い環境を提供していく考えです。
実験の概要
公開実験は、2025年8月29日、茨城県つくば市の鴻池組つくばテクノセンターで開催されました。主催は株式会社鴻池組で、日本コンピュータシステム株式会社と建ロボテック株式会社が協力を行いました。今後も引き続き、技術開発の進展が期待されます。