神戸市立王子動物園にアムールトラのオスが新たな旅立ち
動物たちの未来のため、新たな繁殖を目指して、アムールトラのオス「ミシュカ」が神戸市立王子動物園に搬出される準備が整いました。この取り組みは、希少なアムールトラの遺伝的多様性を守るための重要なステップです。今年の7月9日、水曜日を予定日にして、ミシュカは新たな環境に移動します。
アムールトラ「ミシュカ」について
ミシュカは2017年6月15日、ドイツ・ハーゲンベック動物園で生まれました。8歳の彼は、現在アドベンチャーワールドで飼育されており、すでに繁殖実績もある頼もしい一頭です。2024年5月にはふたごの父親として新たな命を誕生させ、現在も同じペアによる妊娠が確認されており、今年の7月中旬には新たな命が期待されています。
この新たな試みは、王子動物園でのメスとの繁殖を目指しています。希望に満ちた未来に向けて、地域の皆さんに愛される存在となってほしいと願っています。
繁殖に向けた国際的な取り組み
アムールトラは、中国東北部からシベリアにかけて生息する希少な種で、現在その生息数はおよそ500頭とされています。世界動物園水族館協会(WAZA)は、アムールトラを保護するための国際種管理計画(GSMP)の対象種として設定し、各国の動物園が協力して種の保存を図っています。国内では遺伝的多様性を維持するため、アドベンチャーワールドは2019年にドイツからオスのミシュカを、2022年には韓国からメスを受け入れました。
アムールトラの特徴と生態
アムールトラの分類は食肉目ネコ科で、学名は
Panthera tigris altaica、英名ではアムールタイガーと呼ばれています。彼らの生息地は広範囲に及び、中国の東北部からシベリアまで及んでいます。性格は狡猾で、単独行動が多く、自らの縄張りを60~100㎢も持つ夜行性の肉食獣です。
繁殖は通常、約100日の妊娠期間の後に行われ、一度の出産で1頭から6頭の子を産みます。生まれたばかりの赤ちゃんは、体重が1kgほどで目も開かず、非常に未熟な状態で産まれます。幼獣は約10日で目が開きますが、その後の育成期間は長く、母親から独立するまでに2年ほどかかることもあります。
SDGsへの取り組み
アドベンチャーワールドは「いのちを見つめ、問い続ける」という理念のもと、すべての生命に笑顔が溢れる持続可能な未来を築くために不断の努力を続けています。SDGs(持続可能な開発目標)にも積極的に参加し、2030年の明るい未来に向けたさまざまな取り組みを行っています。
アムールトラの繁殖は、その生存をかけた重要な試みであり、私たち一人一人がその未来を支える手助けができるかもしれません。これからも、神戸市立王子動物園でのミシュカと新たな仲間たちの成長を見守っていきましょう。