岡山大学が挑む新たな医療の形
国立大学法人岡山大学は、家庭での神経性やせ症の家族療法(FBT)をサポートするために特化したAIボットを開発しました。このAIは家庭内での食事に関する深刻な問題に直面する家族の「パートナー」として、24時間いつでも利用できる支援を提供します。これまでに同様の取り組みはなく、家庭での支援の空白を埋める新たな試みとして注目されています。
神経性やせ症の現状
「神経性やせ症」は、極端なダイエットによって体重が著しく減少し、深刻な健康問題を引き起こす恐れのある病気です。特に10代の若者において増加しており、治療には家族が食事を主導する家族療法が有効とされています。しかし、食事の場で子どもが驚いて泣き叫んだり、拒絶反応を示したりする中で療法を続けるのは家族にとって非常に大きなストレスと負担となります。
AIボットの特長と期待される効果
今回のAIボットは、食事時に適切なアドバイスを提供することを目的としたもので、専門医による評価でもその9割以上が適切で安全と考えられています。深夜や休日など、医療者に相談しにくい時間帯に家族が必要とする情報を即座に提供することで、家族の不安を軽減し、より良い支援につなげたいと考えられています。
長谷井嬢教授(整形外科)は、「保護者が回復を支える最大の味方である一方、過酷な状況に直面していることを理解し、このAIが支援となることを願っています」と述べ、本システムの意義を強調しています。AIは単なる情報提供に留まらず、家族の感情に寄り添い、励ますための独自のアルゴリズムを搭載しています。これにより、家族療法をより効果的に支援できることが期待されます。
今後の展開
このAIボットは、2026年2月から段階的に患者の家族を対象に試用が行われ、その精度を高めていく予定です。司法利用を目指し、効果が実証されれば、多くの家庭での治療に寄与する可能性があります。これは医療におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)の先駆けとなり、今後の医療支援のあり方を示す重要なモデルとなるでしょう。
岡山大学はこれまでにも多くの革新的な医療技術の開発に取り組んできましたが、このAIボットは医療現場における「支援の空白」を埋める新たな一歩として、その意義が大きく評価されています。これからの医療は、AIを利用した新しい支援の形が、より多くの家庭に希望を与えることに期待されています。