岡山大学の新たな発見
2025年10月22日、岡山大学から注目の研究成果が発表されました。歯周病が血糖値の日内変動を乱す可能性があることが、持続型血糖測定(CGM)による実験で初めて示されたのです。この研究は、岡山大学の大学院医歯薬学総合研究科の研究チームによって行われました。
研究の概要
研究チームは、歯周病マウスモデルを用いて、歯周病の進行が全身性の炎症や腸内細菌叢の乱れを引き起こすことが、糖代謝にどのような影響を与えるかを探求しました。具体的には、歯周病の進行がインスリン抵抗性を引き起こし、これが血糖値の日内変動を悪化させるメカニズムが確認されました。この発見は、糖尿病の管理における歯周病の重要性を再確認させるものとなりました。
糖尿病管理における新たな視点
従来、糖尿病患者の血糖管理においては、HbA1cや空腹時血糖値が主に使用されてきました。しかし、近年ではCGMによる日内の血糖値の変動を管理することが注目されており、その重要性はさらに増しています。今回の研究は、歯周病が血糖値に与える影響を示す重要な根拠となり、医科歯科連携の進展を促進するものです。
研究者の声
大森一弘准教授は「歯周病と糖尿病は相互に影響を与える関係ですが、血糖値の日内変動に着目した研究はこれまで存在しませんでした。この結果は非常に興味深く、今後は臨床研究によってさらなる検証を進めていきたい」と述べています。
高盛萌可大学院生も「ヒト用のCGMを装着したマウスモデルを作成するのは難しかったが、マウスでもヒトと同様に血糖値の日内変動をモニタリングできた。これをきっかけに、糖尿病患者への医科歯科連携医療も見直されることを期待しています」と語っています。
これからの研究の進展が期待されます。糖尿病患者の方々はもちろん、多くの人々が健康を見直す際に、歯周病との関係を考慮することが重要になりそうです。
論文情報
この研究成果は2025年10月6日付で国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。論文名は「Continuous glucose monitoring reveals periodontitis-induced glucose variability, insulin resistance, and gut microbiota dysbiosis in mice」です。
論文のリンクはこちらです。
このような新たな発見が、地域医療においても広がりを見せることを願います。岡山大学は今後も研究を通じて、地域と人々の健康に貢献していくことでしょう。