岡山大学が術前化学療法を導入し膵臓がん治療の新時代へ

岡山大学が切除可能な膵臓がんに対する術前化学療法を導入

最近、岡山大学病院が切除可能な膵臓がんの患者に向けた新たな治療法を発表しました。この治療法は『gemcitabine + S-1（GS療法）』という術前化学療法で、2019年から本格的に導入されています。これにより、約90%の患者が治療を完遂し、長期生存率が有意に向上したことが確認されました。

治療法の背景とその効果

膵臓がんは、近年患者数が増加しており、早期発見が極めて重要な癌です。従来の治療法では、手術が先行する形で治療が行われてきましたが、岡山大学ではそれを見直し、術前化学療法を取り入れることで、患者の生存率を向上させることを目指しています。

岡山大学病院の肝・胆・膵外科と消化器内科が密に連携し、共同でこの治療法の研究と実施を行っています。研究の結果、術前化学療法を受けたグループでは、92%以上の患者が手術に臨むことができ、2年全生存率は83%という素晴らしい結果を収めました。従来の手術先行群の61%との比較でも、これがいかに画期的であるかがわかります。

安全性と標準治療への期待

この研究は、欧州のがん関連研究学術誌『Cancers』に掲載され、治療の安全性と有効性が科学的に証明されました。研究チームは、術前化学療法だけでなく、合併症の少ない手術とその後の補助療法の重要性も強調しています。

高木弘誠講師は『従来の治療法では限界がありましたが、今回の成果により、新しい道が開かれたと信じています。今後も患者のために、さらなる治療成績の向上に努めます。』と、期待を寄せています。

今後の治療方針

岡山大学病院では、今後も引き続き、膵臓がんに対する新しいアプローチを追求し研究を進める方針です。治療の効率化と安全性向上を目指し、一人でも多くの患者が元気に日常生活を送れるような治療法の確立を目指します。がん治療の新たなパラダイムを変える可能性を秘めたこの研究に、今後も注目です。

人々の生命を救うこの新たな試みが、地域社会や世界中に広まり、希望の光となりますように。治療法の詳細や新しい情報については、岡山大学病院の公式サイトでご確認ください。