大阪ガスが手掛ける新しいエネルギーのかたち──千里蓄電所の商業運転開始
大阪ガス株式会社は、伊藤忠商事株式会社および東京センチュリー株式会社と共同で出資する「千里蓄電所」の商業運転を2025年8月20日に開始しました。この千里蓄電所は、大阪ガスとして国内初となる商業運転を行う系統用蓄電所であり、再生可能エネルギーの普及に伴う電力系統の安定化に寄与することを目指しています。
なぜ蓄電池が今必要なのか?
近年、再生可能エネルギーの導入が進む中、国は2040年までに日本の発電量に対する再エネの割合を40~50%とする目標を掲げています。しかし、太陽光や風力発電の出力は天候に影響されやすいため、需給バランスが乱れがちです。これを受けて、電力需給の変動に対応できる蓄電池の必要性が高まっています。系統用蓄電池は、電力の供給が過剰な時にそのエネルギーを蓄え、不足する際に供給することにより、電力系統の安定性を保つ役割を果たします。
Daigasグループの2050年の目標
Daigasグループは「エネルギートランジション2050」を掲げ、2050年のカーボンニュートラル社会を実現するための施策に取り組んでいます。特に、再エネの普及と電力系統の安定化を両立させるために蓄電池事業を推進しています。2030年度までには蓄電池運用規模を1,000MWに拡大する目標を設定し、千里蓄電所をその第1歩として位置づけています。
千里蓄電所の概要
千里蓄電所は、大阪府吹田市に位置し、定格出力11MW、定格容量23MWhを有しています。この施設は、2023年4月に環境共創イニシアチブの支援を受け、商業運転に向けたすべての工事が完了しました。蓄電池の技術にはリチウムイオン電池が採用され、約2,200㎡の敷地に設置されています。伊藤忠商事は蓄電池や関連するシステムの調達とメンテナンスを担当し、大阪ガスは市場での取引を通じて蓄電池の運用を行います。東京センチュリーは、事業評価と運用支援を担当しています。
これからの展望
大阪ガスは、千里蓄電所の商業運転を通じて、再エネの普及と電力系統の安定化に貢献するだけでなく、社会の脱炭素化という大きな課題に挑戦しています。運用規模が今後拡大することで、地域社会や環境へより良い影響をもたらすことが期待されます。2050年のカーボンニュートラル実現に向け、千里蓄電所はただの発電所ではなく、未来のエネルギーのあり方を示す象徴的なプロジェクトとなることでしょう。