若手社員の定着を後押しするキャリア支援の重要性

近年、企業では若手社員の早期離職が課題となっています。その背後には、成長実感やキャリアの見通しが持てないという不安が潜んでいます。この度、ALL DIFFERENT株式会社とラーニングイノベーション総合研究所が1～4年目の若手社員1,793人を対象に行った意識調査の結果から、若手社員の成長実感やキャリア志向、企業・上司からの支援の影響を明らかにしました。

背景

若手社員の早期離職の原因として、成長の実感が得られないことが指摘されています。特に、ジョブ型雇用の導入が進む中、自分の未来を描けない若手社員が増えていることが懸念されています。これに対抗するためには、自己努力だけでなく、上司や企業の支援が必要です。

調査結果には以下のような傾向が見られました。

調査結果の概要

1. 成長実感の低下

最初の質問では、現在の仕事が成長につながっているかどうかを尋ねました。社会人1年目では64.8％が「感じる」と答えたのに対し、4年目では48.5％と大きく減少しています。これは経験年数が増えるにつれて新しい挑戦が少なくなることが影響していると考えられます。

2. 新たな業務に挑戦する機会の減少

新しい業務を任される実感についても調査しました。社会人1年目は63.9%が「はい」と回答しましたが、4年目では51.1%と減少しています。この背景には業務内容のマンネリ化があると考えられます。

3. 知識・スキルの強化

自身の業務に関連する知識やスキルを強化しようとする若手社員の割合は、1年目が60.3%だったのに対し、4年目は46.3%でした。このことから、自身の成長を実感できなくなるに連れて、努力する意欲が低下する傾向が浮かび上がります。

4. 将来のキャリア志向

将来のキャリアについて尋ねたところ、社会人4年目の47%が「未定」もしくは「志向なし」との回答でした。これは、経年でキャリアに対する意識が希薄になる様子を示しています。

5. 上司のサポートとキャリア志向

上司からの支援がある場合、管理職や専門職を目指す若手社員の割合が高くなることも分かりました。サポートを受けていると感じる若手社員の方が、将来のキャリアを描きやすいことが示されています。

6. 企業からの支援の実感

企業のキャリア形成支援が「適切だ」と感じる割合は、社会人歴の上昇と共に低下する傾向にあります。特に4年目の社員では、1割を下回る結果となりました。

7. 勤続意向との関連性

企業からの支援を感じている若手社員のうち、87.6%が「働き続けたい」と回答しています。一方で、支援を感じない若手社員は57.2%が「思わない」としており、離職リスクが高いことが窺えます。

まとめ

調査から判明したのは、若手社員の成長実感の低下、業務のマンネリ化、キャリアに対する志向の希薄化という傾向です。これらは企業や上司からの積極的な支援によって改善可能です。若手社員が成長を感じつつ、勤続したいと思える環境作りが企業には求められています。それには、期待感を育み、実行可能な支援を行うことが重要です。人手不足の現状を克服するために、企業は若手社員への丁寧な育成を進めるべき時が来ています。