使用済みおむつの持ち帰りをなくす活動の現状と展望
最近、子育ての環境が整備される中、特に注目を集めているのが「使用済みおむつの持ち帰り」の問題です。多くの市町村で持ち帰りを廃止する動きが進んでいますが、いまだに残る自治体も存在し、地域格差が懸念されています。BABY JOB株式会社が運営する「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」による調査で、その現状が明らかになりました。
調査結果の概略
2022年に始まった調査では、全国の公立保育施設がある1,414市区町村の保育課に電話調査を行い、使用済みおむつの持ち帰りについての状況を把握しました。その結果、521の市町村で持ち帰りのルールが廃止され、約37%の自治体がすでにこの問題に取り組んでいることが確認されました。とはいえ、4%に満たない市町村がなおも持ち帰りを求めていることは問題です。特に、長野県、北海道、奈良県では依然として多くの市町村がこのルールを残しており、現状における地域差が際立っています。
持ち帰りを続ける理由
調査を通じて、持ち帰りを続ける主な理由として「これまでの慣習」が最も多く挙げられ、次いで「ごみの保管や回収の手配が難しい」といった意見が見受けられました。実際、今後の方針を確認した結果、「今後廃止を予定・検討中」と回答した市町村も存在し、全体の約5市町村に1つが見直しに向けた動きを進めています。
さらに、私立保育施設に対する園内処分に向けた補助はわずか15.9%にとどまるなど、全体的な支援の不足が指摘されています。この現状は、今後の政策の見直しが求められる部分です。
使用済みおむつ持ち帰り問題の重要性
地域ごとの利用状況や条件が異なることは保護者の心理的負担となり、これが結果的に保育士や子どもたちへと影響を与えています。性別や年齢にかかわらず、使用済みおむつの持ち帰りを強いる現状が、利用者にとってどれだけストレスの要因となっているかを考えることが重要です。
また、持ち帰りを強いるルールは、衛生面や環境面でも問題が指摘されており、地域ごとの対応の違いをなくしていくために、国や各市町村の取り組みが期待されています。
専門家の見解
ライターとして活動する髙崎 順子氏は、「日本では使用済みおむつを持ち帰るという文化が根付いているが、これは非常に時代遅れな慣習である」と指摘しています。フランスの子育て支援策を取り上げ、日本の抱える問題を広く伝えてきた彼女は、この問題の解決に向けた意識の高まりを期待しています。特に持ち帰りを続ける自治体に向けて、「全国で持ち帰りを求める自治体はごく少数派である」という事実を理解し、積極的な政策変更を行うことが求められています。
今後の取り組み
「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」は、今後も全国的な調査を続け、問題提起を行っていく予定です。この活動を通じて、多くの市町村において「園内処分」が当たり前となることを目指しており、地域格差の解消に向けた取り組みが進められています。
おむつを持ち帰るという古い習慣を乗り越え、すべての子育て世帯がより快適に保育施設を利用できる環境の実現を目指していく必要があります。私たちもその動きを、積極的に支えていきたいものです。