岡山大学の多文化共修事業
国立大学法人岡山大学は、2024年度、文部科学省から採択を受けた「ソーシャルインパクト創出のための多文化共修キャンパス形成支援事業」を展開しています。この取り組みの一環として、教職員の能力開発を目的に、2025年9月24日に「多文化共修を効果的・効率的に実践するために」というテーマで研修会が実施されました。この会には130人以上の教職員が参加し、多国籍な学習環境を実現するためのアイデアや実践が共有されました。
開会の挨拶は鈴木孝義副学長(国際・同窓会担当)が行い、多文化共修事業の背景と意義について説明しました。続いてグッドプラクティスの共有が行われ、特に注目されたのがAI技術の活用による新しい学習環境の構築です。
英語の壁を越える試み
横井篤文副学長(グローバル・エンゲージメント担当)および津波優UGAによる講演では、「AI自動翻訳と意見集約アプリで実現する主体的・双方向型のグローバル学習環境」というテーマで、英語に対する不安を抱える日本人学生に向けた具体的な取り組みが紹介されました。彼らは、英語に自信がない学生でも参加できるように、リアルタイムでの翻訳機能を実装したアプリを活用しています。
実際の使用例では、授業内容を自動翻訳し、参加者は言語の壁を感じることなくディスカッションに加わることができることが示されました。この仕組みによって、留学の興味を持たない学生も積極的に国際的な学びに参加できる環境が創出されています。
教育動画の多言語対応
さらに、香田将英特任准教授(学術研究院医歯薬学域地域医療共育推進オフィス)による講演では、「生成AIで実現する字幕付き・多言語対応の教育動画づくり」が紹介されました。この講演では、生成AIの活用法や、字幕制作の過程における具体的な手法についても詳しく解説されました。参加者は、教材の多言語化がどのように実施されるのかを学び、効率的な動画制作のノウハウを得ることができました。
参加者の感想と未来への展望
研修に参加した教職員からは、「先進的な取り組みで、今後活用できそう」「発表内容が興味深く、望ましい方向へ進むと感じた」といった声が上がりました。多文化共修の取り組みが新たな視点を提供する場となり、言語の障壁を克服する可能性を探る有意義な機会となりました。
岡山大学は、この多文化共修事業を通じてさらなる国際化の実現を目指します。今後も地域中核・特色ある研究大学としての役割を果たしていく予定です。関心を持つ皆様には、岡山大学の取り組みに今後ともぜひご期待ください。
参考資料
岡山大学は、それぞれの学びを支えるパートナーとしての役割を果たし、持続可能な社会の実現に向けた多文化共修の推進に力を入れています。