スパイスキューブの挑戦:未来の農業を目指して
日本の農業が急速に変化している中、スパイスキューブ株式会社(以下、スパイスキューブ)が抱える夢と取り組みについてご紹介します。スパイスキューブは「未来のこどもたちも美味しい野菜が食べられる時代を作りたい」という強い思いのもと、農業を身近に感じてもらうための新しい形を提案しています。
農業人口の減少とその影響
近年、農業従事者の数は減少の一途を辿っています。農業人口は2010年の260万人から、2024年には111万人まで減少すると予測されています。特に高齢化が進み、71%以上が65歳以上であることから、持続的な農業の担い手がいなくなる危機も懸念されています。
そんな中、スパイスキューブの代表取締役、須貝翼氏は、17年前から農業に携わり、その厳しい現実を体験しています。サラリーマンとしてトマト農家を兼業する中で、美味しい野菜を作っても収入が得られず、結果的に家族が農業から離れていく現実を目の当たりにしてきました。
新たな農業の形を提供する
スパイスキューブは、誰もが農業に触れられる新しい環境を提供するための取り組みとして、都市型植物工場を開発しています。オフィスや学校、商業施設に簡単に設置可能な小型農業装置「AGROT」を活用し、わずかなスペースから農業を実現します。これによって、農業が特別な職業ではなく、家庭や法的機関で身近な営みとして捉えられることを目指しています。
さらに、スパイスキューブでは、CO₂を回収・利用するDAC(Direct Air Capture)技術を駆使し、効率的に植物を育てる新しい農業のスタイルを築き上げています。この技術を取り入れることで、環境にも配慮した持続可能な農業モデルを実現します。
空き家を農地に変える
日本国内には約900万戸の空き家が存在しており、この潜在的リソースを利用した新たな農業の可能性に挑戦しています。スパイスキューブは、これらの空き家に農業装置を設置し、農業サブスクリプションサービスとして活用するプランを進めています。地域社会とつながりながら、空き家問題を解決し、持続可能な農業を促進するという目標を掲げています。
スパイスキューブの未来
スパイスキューブのビジョンは、都市型農業を日本のスタンダードにすることです。家庭や学校、職場などで当たり前に野菜が育つ未来を描き、誰もが自分の食に意識を向ける社会を目指しています。これにより「食べる」だけでなく「育てる」ことの楽しさを多くの人に広め、一人でも多くの人が農業を体験できる環境を提供することに取り組んでいます。
代表の須貝氏は「農業をもっと身近にし、さまざまな人にその大切さを知ってほしい」と語ります。スパイスキューブの挑戦は、農業だけでなく食の未来にも強く影響を与えるものです。これからの農業モデルが、地域の活性化や環境問題解決に貢献することを期待したいです。
結論
スパイスキューブのような新しいアプローチが、これからの日本の農業の形を変えていくかもしれません。都市生活の中で気軽に農業を楽しむことで、次世代に安心・安全な食を届ける新たな社会像が広がることを願っています。