岡山大学が明らかにした肺がん治療薬の新たなリスクとは

新たなリスクを明らかにした岡山大学の研究

岡山大学病院の研究チームが、肺がん治療薬「オシメルチニブ」に伴う心不全入院リスクの上昇を国内の大規模データを用いて検証しました。この研究では、約12万人にのぼる肺がん患者のデータを解析し、オシメルチニブを用いる患者が他の治療薬を使用している患者に比べて、心不全による入院リスクが2倍以上高いことが分かりました。

研究の背景

オシメルチニブは、EGFR（上皮成長因子受容体）変異陽性の非小細胞肺がんに対する治療薬として広く利用されていますが、心臓に対する副作用に対する懸念は以前から存在していました。特に高齢者や、もともと高血圧や心房細動、慢性心不全、慢性腎臓病の既往歴がある患者において、心不全入院のリスクが顕著に高まることが、新たな発見として注目されています。

研究の詳細

研究を主導した岡山大学病院の薬剤部長、座間味教授とそのチームは、肺がん患者の病歴や治療状況を考慮に入れ、心不全入院のリスクを統計的に解析しました。具体的には、オシメルチニブを処方された患者の入院データを整理し、他の治療薬群との比較を行いました。その結果、オシメルチニブを使用した場合、心不全入院のリスクが明らかに増加することが示されました。

患者への影響

この研究成果は、抗がん剤を子用する全ての患者にとって重要な示唆を与えます。心不全による入院リスクを考慮することで、医療従事者はより適切な治療計画を立てられると同時に、副作用の早期発見や予防に繋がることが期待されます。

研究の意義

今回の研究結果は、2025年9月に米国心臓病学会機関誌「JACC: CardioOncology」に掲載され、国際的な関心を集めています。薬剤部の建部泰尚薬剤師は、心臓の副作用に対する認識を高め、患者がより安全に治療を受けられる体制を整えることが重要と指摘しています。

今後の展望

オシメルチニブは今後も多くの患者に使用されることが予想されますが、心臓に対する安全性を確保するための仕組み作りが求められます。患者やその家族は、治療に入る前に医師とリスクについて詳細に話し合うことが大切です。

岡山大学病院は、地域に密着した医療を提供することで、患者が安心して治療を受けられる環境作りを沖進めています。今後も研究の進展に注目し、医療現場での具体的な取り組みが広がることを期待します。